オスピス・ド・ボーヌ2015
ブルゴーニュ最大のワイン祭り「栄光の3日間」が11月14日（土）からボーヌで開催されました。毎年11月第３日曜前後に3日間続くこのお祭りのメインイベントは、今年で第155回目を迎えるオスピス・ド・ボーヌワインオークションです。11月13日（金）夜にパリで同時多発テロ事件が起こった為、このオークションの開催が危ぶまれましたが、にぎやかな歌やダンスを排除し、決行されました。例年なら、音楽を奏でながら楽し気に街を練り歩くパレードは、沈黙の行進となりました。
オークションにかけられた47種類のワインを樽試飲しました。今年の注目ポイントは2点。オスピス・ド・ボーヌの歴史が始まって以来、初の女性醸造長となったルドヴィン・グリヴォは、今年のワインをどのように仕上げたのか。そして、今年から新しく加わったシャブリ プルミエ・クリュ コート・ド・レシェ キュベ・ジャン・マルク・ブロカールはどのようなワインになったのか。
2015年は、7月8月と好天に恵まれ、渇水気味の暑い夏でした。ぶどうの糖度は十分に上がり、ブルゴーニュでも白赤共にアルコール度数が14度を超えるものがありました。オスピスも例外ではありません。
赤ワインを試飲した第一印象は、濃厚で果実味たっぷり情熱的。南フランスのワインを思い起こしました。トロピカルな香りのする白ワインもありました。今年初お目見えのシャブリは、濃厚でエキゾチックな印象。今年は収穫が早かった為、現段階でワインとしてかなり形になっています。2015年のオスピス・ド・ボーヌワインは、現段階ではこのように例年とはタイプが違いますが、これから少しずつブルゴーニュワインらしくなっていくのでしょう。
オークションにかけられたワインは、昨年より1種類増え48種類、計575樽（白117樽・赤458樽）。毎年最も盛り上がるのは、特別ゲストにより采配が振るわれるピエス・デ・プレジダンのオークションです。女性ニュースキャスター、クレール・シャゼル、俳優のクリストファー・ランバート、この2人によりコルトン・ルナルドは、一樽史上最高価格の48万ユーロ（6300万円強）で落札されました。落札者は、匿名希望のフランス人です。この収益は、キュリー財団、脳梗塞基金、そしてパリのテロ犠牲者に寄付されます。今回のオスピス・ド・ボーヌワイン総売り上げは1014万ユーロ（13億円強）。一樽あたり換算では前年比28％の価格上昇となりました。
ワインは、熟成を続けることにより、瓶詰するまで大きく変わっていきます。2015年のワインが数年後、皆様のお手元に届く頃には、また新たな顔のワインになっていくことでしょう。