ユベール・ド・モンティーユ
ブルゴーニュ地方ヴォルネイ村の偉大なつくり手、ユベール・ド・モンティーユが11月1日に亡くなりました。84才でした。彼は、ワインドキュメンタリー映画モンドヴィーノ（2004年ジョナサン・ノシター監督）でテロワール主義者として登場し、世界中に顔を知られるようになりました。
彼と私は、ブルゴーニュ大学のテロワールを学ぶワイン講座で、クラスメイトとして一年間共に過ごしました。彼は生徒として来ていたので、先生達はやりづらかったと思います。当時77才だったユベールは、クラスメイトとのランチタイムをとても楽しみにしていて、朝、顔を合わせると「今日のお昼はどこで何を食べようかねぇ」といつも楽しげでした。彼は、アルザスでお友達とのお食事中、ワイングラスを手にして亡くなられたとのこと。そのグラスには、彼のお気に入りのひとつであるポマール・リュジアン1999年が入っていたそうです。彼らしい、素敵な最期だったと思いました。
ワイン界には彼を慕う人が多く、今は亡きロワールのつくり手ディディエ・ダグノーもその一人でした。彼が大学に授業をしに来た時は、用意された先生席ではなく、迷わずユベールの隣に座りました。授業でさまざまなドメーヌを訪問すると、つくり手の皆さんは大感激しつつも、緊張のご様子でした。なかには、彼が来ることを知らず、姿を見てうろたえる人もいました。どのつくり手も一様に、緊張の面持ちでユベールのテイスティングコメントを待っていたことが強く印象に残っています。
彼は、優秀な弁護士でもあり、フランスでは誰もが知る大きな事件を担当しました。現在、ドメーヌ・ド・モンティーユは彼の子供であるエティエンヌとアリックスが運営しています。
写真は、一緒にディジョン散歩した際のもの。映画では頑固者のイメージですが、楽しい素晴らしい方でした。
