サンマルタンのお祭り
毎年1月末、ブルゴーニュの各村持ち回りで開催される、「サンヴァンサン・トゥルナント」。これは、「ワイン生産者の守護聖人サン・ヴァンサン」に感謝を捧げるお祭りです。これとは別に、各村のつくり手が独自で開催する、自分達の為の、こじんまりとしたお祭りがあります。マルサネ村のお祭りに招かれ、参加してきました。
マルサネ村は、他の村と違って、守護聖人が「サン・マルタン」です。ワイン生産者の守護聖人であり豊饒のシンボルでもあるサン・マルタンは、316年サヴァリア（現ハンガリー）生まれ。有名な「マントの伝説」を持つ聖人です。ローマ軍に入隊していた彼は、ある寒い日に震えている物乞いを見つけ、自らのマントを裂き、半分を物乞いに与えました。その物乞いが、実はイエス・キリストだった、という伝説です。助け合いの精神を持つサン・マルタンは、その後洗礼を受け、布教活動を行いました。修道院をつくり、司教として多くの人から崇拝され、死後に多くの奇跡を起こしたと言われています。フランスには、この偉大な聖人サン・マルタンにちなんだ地名が多く残っています。
マルサネ村には、困った時に皆で助け合う、「サン・マルタン」という名のワイン生産者互助会があります。最近、1人のつくり手が手術をして動けなくなった時は、皆で彼の畑仕事をしたそうです。サン・マルタンの聖名祝日は11月11日ですが、マルサネ村では仕事が落ち着き、狩猟シーズンが終わった、2月最初の週末を、このお祭りの日としています。
さて、お祭りの様子をお伝えします。毎年、村にある14のドメーヌが交代で守護聖人サン・マルタンを迎え入れます。当日は、まず、去年１年間守護聖人を守っていたドメーヌに、サン・マルタン像を迎えに行き、そして、教会へと向かいます。既に200名ほどの人が集まる教会に、お神輿のようなものに乗せられたサン・マルタン像が、厳粛な音楽と共に、入場していきます。
担ぎ手は、去年１年間サン・マルタン像を守っていたドメーヌ当主、そして今年のドメーヌ当主です。彼らに続き、村のつくり手達が続々と入場していきます。普段とてもラフなつくり手のネクタイ＆スーツ姿に、驚きました。「サン・マルタンに敬意を表しているんだ。」とのこと。「どうか今年も素晴らしいワインができますように」と、全員で、約１時間半に渡り熱心に祈りを捧げました。ワイン村らしく、ミサの間、守護聖人の像が置かれていたのはワイン樽の上。
教会の壁画は、ぶどう収穫時の光景です。
ミサが終わると、サン・マルタンはパトカーに先導され、マルサネ交響楽団を率いて村の中をパレード。
そして、2013年度サン・マルタンを迎え入れるドメーヌ・ジャン・フルニエに、無事到着。外気温0度の中、皆で祝い酒をいただきました。
以下、つくり手さん達の楽しそうな様子です。
左写真：ドメーヌ・ジャン・フルニエ、ドメーヌ・シルヴァン・パタイユ、ドメーヌ・ジェローム・ガレイラン
右写真：ドメーヌ・コロット、ドメーヌ・マルク・ブロコ（マルサネ村サン・マルタン会長）
ドメーヌ・ベルナール・ブーヴィエ
ドメーヌ・デュ・ヴィユー・コレージュ
ドメーヌ・デュレイ
ドメーヌ・バール
ドメーヌ・ジル・バロラン
ドメーヌ・エルヴェ・シャルロパン
ドメーヌ・シャルル・オードワン
ドメーヌ・ロラン・パタイユ
ドメーヌ・ベルナール・コワヨ
また今年も、マルサネ村で素晴らしいぶどうが収穫できますように！おいしいワインができますように！！